出来る限りノーマルに近い状態のKATANAのインプレをします。
走り出して最初に感じるのは、フロントが遠いところでゴトゴトとしてて、接地感は薄くて前が妙に高い。グリップしてる感じも弱い。山道に持ち出してみると、コーナー入り口で車体を寝かせてしばらく待つと、あとからフロントが大回りしつつ車体の旋回に付いてくる。
文章で表すとこんな感じでしょうか。ブレーキングで前を残し気味でしっかりアプローチすればある程度動きは変わります。
エンジンはR1000k6と比べて少しマイルドで低速はよく粘るように変わってますが、開けていけばそれなりにパワーはあります。それはもう勘違いするほどに、車体に対しては速い。
大きなギャップで車体が振られると収まるまで時間がかかるのは、スイングアーム先にあるライセンスホルダが振り子のように揺さぶってるからですかね。
スタビリティでのデメリットは大きいですが、ライセンスホルダ回りのデザインは割と気に入ってます。
新型KATANAの試乗で軽くヒラヒラ曲がるというインプレしてる方がいらっしゃいますが、私は全然ヒラヒラしてるようには感じませんでした。直前に乗っていたR1000との比較になるので、キャスター角の寝てるKATANAではヒラリと軽くは曲がらないのは当たり前ですかね。
この新型カタナ、ひとことで言うならば「初代カタナの乗り味をS1000の車体で再現してみた」と。初代カタナの19インチホイールの立ちの強さとコーナーで予備動作をしないと曲がりは弱く、直付け2本リアサスの落ち着きの無い雰囲気。
1980年代前半のバイクの味ですね。これわざとこういう風に作ったんですかね。
スペック至上主義なスズキには珍しいアプローチで、これはこれで良い再現度だと思います。
ただし、エンジンはそうではないですね。
車体のF19インチ風味の懐かしいセッティングに対して、パワーを抑えてもまだまだギラついたエンジン。スロットル開けるとバカっ速いのは隠せず、せっかくのノスタルジックな作り込みを148PSが吹っ跳ばす。
足回りとエンジンのキャラが合致してない気がします。
サスに合わせて流す分には問題無いですけど、エンジンのパワーに任せて走るとかなり怖いバイクですよ。まぁ、怖いだけで速く走れるんですけど。
とは言え足回りはあくまでサスセットとテール廻りの処理による表面的なキャラクターの話で、完璧に再現しているわけではなく、乗り味というか、スパイス?個性?とか、そういう空気を漂わせる程度のモノです。普段乗りで懐旧のカタナの雰囲気に少し触れる、といった仕上がりでしょうかね。
エンジンはストリートファイターでも足回りはそうではなかった、もしくは
カタナの雰囲気を足回りでも演出してみたけどエンジンが空気読めてない
そんなインプレでした。